東北一の繁華街、仙台・国分町で飲食関係の仕事をしていたころだった。
片岡祐太さん(23)は暇つぶしで始めたチャットアプリで、九州に住んでいるという女性のプロフィルに目をとめた。
好きなユーチューバーが一緒だったからだが、やりとりをしてみると、音楽から漫画まで、好きなものはどれも同じだった。
なにか縁があるような感じもして、1日に何時間も電話するようになった。
知り合って3日後の夜。
いつものように電話しながらお互いの家族構成の話になったとき、彼女が突然、泣き出した。
「父親は、中学生のときに亡くなったの」
聞けば、彼女は大分県で暮らしていた。
そして2017年に九州北部を襲った豪雨で、父を亡くしていた。
学校になじめず、父を失った悲しみもあって心が不安定なことも打ち明けられた。
電話越しに、祐太さんは驚いた。
「自分とまったく同じじゃないか」
泣きじゃくる彼女に、こう伝えた。
「俺も震災で母親を亡くしたし、学校ではうまくいかなかった。気持ちがすごくわかる」
気づくと、自分も泣いていた。
学校でいじめ、優しかった母の死、高校中退…出会いが変えたこと
祐太さんは、宮城県の南東部…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル